ロボット・AI…歯科診療に取り入れられる新技術

2026.07.29

最近、スイスのバーゼル大学で開発された「ミニチュア口腔ロボット(MIR)」。このロボットは、クラウンの治療を支援するために設計された。写真=バーゼル大学のキャサリン・ワイヤー

世界中で、歯科補綴物の製作を自動化するための技術開発が急速に進められている。これは、歯科医師が患者の治療という医療行為に集中できるよう、歯科医師を補助する補綴物の製作やスキャンなどの作業を自動化し、効率を高める試みである。

最近、スイスのバーゼル大学は、「ミニチュア口腔ロボット(MIR)」と呼ばれる歯科用ロボットを公開した。患者の口の中に入れることができるサイズに設計されている。このロボットの開発目的は、虫歯の治療後に修復用として使用されるクラウンの製作期間を短縮することにある。

今日、虫歯がある場合、歯科医院では通常2~3回以上の通院が必要となる。仮のクラウンを装着するのはもちろん、デジタルスキャンを行わない医院では、「アッ」と声を上げて、製作用の印象材を噛みしめていなければならない。 虫歯の治療が終わってから1週間ほど後に、製作されたクラウンを装着することになりますが、この際、歯科医師による精密な治療とフィッティングが必要となります。 もちろん、ミニッシュ歯科病院など、3D技術に基づいたデジタル印象スキャンが可能な高度な歯科医院では、歯科医師がスキャナーで口内を撮影すると、3D技術を用いてクラウンの製作準備が進められます。

しかし、バーゼル大学はロボットを活用し、初診時に患者の口腔内をスキャンして、すぐに新しいクラウンを発注できるよう、そのプロセスを迅速化することを目指している。現在の精度では0.2mm以内の誤差があるが、研究チームはセンサーが取り付けられれば、誤差をさらに低減できると見込んでいる。

米国のIT専門誌CNETは、「現時点では(バーゼル大学の研究はマネキン型の)模擬患者の口にあるセラミック製の義歯を用いて試験を行った段階であり、人間への使用準備は整っていない」と報じた。 バーゼル大学の研究チームは、このロボットが自ら位置を把握し、治療過程をモニタリングできるよう、カメラやセンサーを追加する方法を研究している。この研究を主導するジョージ・ラウター教授は、「停電時でもロボットが位置を追跡できるよう、センサーとカメラを追加する計画だ」と述べた。

人工知能(AI)技術も、歯科診療への導入が急速に進められている。ペンシルベニア大学歯学部傘下の病院「ペン・デンタル・ファミリー・プラクティス」は、昨年のブログ記事で 「AIが歯科医師に取って代わることはないだろうが、歯科医療を変革するだろう」とし、「AIはすでに、精密な診断、治療計画の向上、患者の治療結果の改善などに活用されている」と指摘した。

病院側はまず、より精密になった診断をAI時代の歯科医療の恩恵と捉えた。歯科医師は患者の歯を治療する際、X線写真、口腔健康記録、治療履歴などを総合的に検討する。 これらを事前に収集・分析するのはもちろん、3次元データを用いて画像内の微妙なパターンや口腔内の病変をより容易に、早期に発見できるようになる。また、AIを活用することで虫歯をより早期に発見することも可能だ。 同大学のメル・ムパラプ放射線学科長兼口腔内科教授は、AIを活用して、歯根先端の感染などを診断する医療技術を開発している。また、AIを用いて骨密度を算出し、骨に埋め込まれたインプラントの性能を予測する論文を共同で発表したこともある。

また、AIを活用することで、歯科医師が患者のカルテを記録する時間が短縮される。自然言語処理技術を活用し、AIが患者の病歴、生活習慣、遺伝的特徴、過去の治療結果などを分析して、歯科医師が検討すべき個別の治療計画を提示することができる。 また、各歯科診療の複雑性をAIアルゴリズムが評価し、最適な治療法を提案することも可能だ。もちろん、最終的な決定と実際の治療は歯科医師が行うが、どの治療法を採用すべきかという検討については、機械が共に考えてくれるということだ。

しかし、「AIは決して歯科医師に取って代わることはできず、診察を行うことも、診断を下すこともできない」。これは、AI歯科ソフトウェアプラットフォーム開発会社オーバージェットの最高歯科責任者を務めるナタリア・チャルマーズ博士が、去る5月にコロンビア大学歯学大学院での講演で述べた言葉だ。 チャルマーズ博士は、AIが治療法を提案したり、診断資料の中から注目すべきポイントを指摘して提示することはできるものの、治療自体は必ず歯科医師が患者一人ひとりに合わせて行わなければならないと強調した。

チャルマーズ博士が「(AI技術は)決して質の高いX線画像の必要性を代替することはできない」と述べた点も注目される。 単にAIがデータを処理・分析することには限界があり、治療方針は必ず医療従事者が直接、画像の原本を確認して初めて確定できるということだ。こうした点から、AIやロボットは臨床的判断に取って代わるものではなく、人間の介入を支援する補助ツールなのである。

また、AIのトレーニングに用いるデータが実際の臨床データであるという点から、倫理的な検討や規制も重要な課題となっている。 チャルマーズ博士によると、歯科用AIシステムは公開されたインターネット上のデータではなく、厳選された臨床データに基づいて開発され、X線写真に骨、修復物、虫歯などの特徴をマークして学習させることになる。このように人間の医療データをAI化することは、医療倫理上重要な問題であり、保健当局などによる検討と熟議が不可欠である。

米国歯科医師会はホームページを通じて、AIのほか、3Dプリンティング技術や医療用デジタル画像・通信(DICOM)などを、歯科診療を革新する新技術として挙げた。DICOMは、虫歯、口腔疾患、手術および矯正治療前の評価などに活用できる。

Writer. イ・ヒョンテク
<中央日報>と<朝鮮日報>で18年間勤務した元新聞記者。 現在はフリーランスの寄稿者として活動し、人生第2幕を構想している。 マスコミのほか、JTBC放送広報マーケティングチームと米国エデルマン・グローバル・アドバイザーリーで勤務した経歴がある。

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